「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」の評価と感想:狐につままれアニメ
「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」の評価
二人の天才主人公が、突如として現れた怪獣とそれを取り巻く世界の謎を追いながら、ゴジラがもたらす破局をくい止めようと闘う物語。
見てもらいたい度:❤️❤️➖➖➖
オススメ・ポイント
エネルギー保存則が成り立たないように見える現象の理論的説明とか、タイムスリップしてもパラドックスが起きない条件とかの SF ネタが満載です。 作中に登場する過去の研究者が記したアシハラ・ノートに記載された数々の図式に好奇心が掻き立てられ、とても魅力を感じます。
作画はどこをとっても文句のない出来栄え。 第6話でのマンダを追うゴジラのシーンの海面の絵は正に怪獣映画のそれだし、10話での画面いっぱいのゴジラの姿は、おなじみのゴジラのテーマ音楽と合わさって迫力満点です。 オープニングは何回見ても飽きず、音楽も含めてとても好みでした。
登場する怪獣の種類もいっぱい!「オール怪獣大進撃」状態で楽しいです。
オススメの回
「第3話:のばえのきょうふ」です。 世界的に重大な意味を持つ事件を、地方の町工場の人々が知恵と工夫と心意気で解決するところにワクワクする面白さを感じました。
※以降ネタバレしまくりな上に、ぼやきまくりです。😮💨
「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」の感想という名のぼやき
お勧めのポイントが沢山あるにもかかわらず「見てもらいたい度」がすごく低いのは、この作品を否定したいわけではなく、私が良さを理解できていないという、私の感性の表明です。
演出がどうも…
うかつな尾行
第4話のうかつな尾行で醒めました。たぶん怪獣のものであろう足跡を、武器も防御策も用意せず手ぶらで追っていくとか迂闊すぎてありえません。大の大人が二人で「好奇心に負けた」ということでも無いでしょう。
眉間にシワ寄せたアラレちゃんが天才に見えない
主人公の一人、女学生のメイが凄い天才であるという設定であることはわかるけど、どうにも最後までそれが実感として感じられません。周りを驚かすような発見も、ものすごい天才だからこそというより、たまたま思いついたような、あるいは AI のペロ2が教えてくれたように見えてしまって、「そうは見えないけど実は凄い!」じゃなくて、本当にすごくなく見える。
AI 大活躍
この物語、ざっくり見ると、AI が調べ、AI が提案し、その提案に沿って AI が解決。人間は AI の手助けと実行の承認してるだけに見えます。タイトルの「シンギュラポイント」は怪獣じゃなくて、AI が人間より賢くなっちゃったシンギュラリティのことなのでは?
設定がどうにも…
町工場もう無理でしょ
最初のうちは町工場の人たちの活躍が痛快だったけど、世界各地で怪獣ばんばん出現しまくるし、それを研究してる世界的組織もあるしで、「日本の地方の町工場」である意味がなくなったというか、さすがにその舞台で活躍するのは無理でしょと。だけど、そこで実は世界一の特殊な技術を持ってるとか、怪獣の秘密を知っているとかで一発逆転!ならわかるけど、それも無いし。
怪獣は一頭だからこその存在感
ラドンが一頭だと「怪獣」という感じがしますし、一頭だからこその存在感というものが感じられると思います。しかし、第6話でラドンが都市を覆い尽くすほど大量に現われると、カラスのでかいやつの群れか、台風のような自然災害みたいな感じになり、怪獣の重み、脅威感が無くなったように思います。
魅力的な設定が多すぎたのか?
紅塵、世界各地に現われる怪獣、アーキタイプ、ミサキオクの地下の骨、AI、アシハラの研究、怪獣を閉じ込めてる変な施設、どれが物語の肝なのかわからなくて、視聴の腰が定まりませんでした。
狐につままれた気分…
紅塵とか、アーキタイプとか、特異点とか、いろいろ出た上で、それでなぜ「怪獣」が出現することになったのか? その疑問の回答がないのはいいとして、物語の中でその疑問が疑問として登場人物から上がってこないのがどうにも納得いきません。
終盤のジェットジャガーの進化や前成説は興味深かったですが、最後の最後のあのおかしな縮尺はなんなんですか!? 急にでっかくなりましたよね!? 内面が変わるのはわかるけど、なんで大きさが変わるの? 納得いかない…
全話視聴後に、「そうだったのか〜」、「そういうことか〜」という爽快感、納得感を得られませんでした。映画「マトリックス3」を見た後のようなモヤモヤ感が残ります。
この世の全てを説明できるわけではないという見せ方ではなく、理詰めで全て説明できるように見せておいて、最終的に何がなんだかわからない。この子が全部説明しますから見ておいてくださいと言われたけど、アラレちゃんは眉間にシワを寄せるばかりでちっともこちらを納得させてくれない。
全13話を通して「これはこういうことです」と説明されて、世界の危機は回避されたけど、こちらとしては「はあ、そうなんですか…」という感じで、狐につままれたような気分です。
何がなんだかさっぱりわからないけど、なんだかすごく惹き込まれる!というお話はあるものですが、私はこのアニメにはそれを感じられませんでした。
でも駄作じゃないはず
最初に述べたように、これはこの作品の否定ではなく、私にはわからなかったという私の感性の表明です。見終わった後にこれだけいろいろ考えさせるんだから、決して駄作ではないはずだと思うのです。
だれか私にこの作品の良さを教えてほしいです。本当に。嫌味とかじゃなくて。