「86 -エイティシックス-」2期の評価と感想
「86 -エイティシックス-」2期の評価と感想:人は何のためにどう生きるのかを問うアニメ
「86 -エイティシックス-」2期の評価
シンたち生き残った元スピアヘッドの面々は、新たに得た自由よりも、戦場へ戻ることを選ぶ。決死の作戦に臨む彼らを通して、人は何のために生きるのか、どう生きるべきなのかを問う物語。
見てもらいたい度:❤️❤️❤️➖➖
オススメ・ポイント
1期同様作画は文句なしです。キャラの仕草や目の表情、風景の美しさ、戦闘シーンの迫力、どれをとっても素晴らしいの一言でした。
雰囲気は変わったけれど、中身は変わっていないレーナ、元スピアヘッド戦隊メンバーの魅力も健在。 シンたちが思い思いに好きなことを楽しむシーンは、今までになかったシチュエーションで、新鮮であり、そこに至るまでの過程を思うと感動的なものでもあります。
2期のストーリーの軸となる新キャラ、フレデリカもとってもチャーミング。 人を食ったような態度の中に悲しさと決意を秘めたこの妹君に、視聴者の諸兄姉は否応なく惹かれてしまうことでしょう。
シンと知り合いになったユージンの生き様や、目的もなく無心で戦いに没入するシン、執念を残したまま戦い続けるキリの姿から、この2期は「人は何のために生きるのか、人が人として生きるとはどういうことか」が主題であり、それは最初から最後までブレずに固くしっかりと描かれていると感じました。
オススメの回
それはもちろん戦いのクライマックス回だったり、最終回だったりするわけですが、ここでは敢えて「#13 今更そんなこと」を挙げます。
クレナの発言の後に映る5輪の花、フレデリカの願いを聞いた後の6輪の花など、このアニメの魅力の一つである、小道具や表情の変化に語らせる上手さが際立つ回です。
エルンストに向けたシンの宣言、子供なんだか大人なんだかわからないフレデリカが、エルンストと86の面々を諭す場面も見どころです。
※この先ネタバレある上に、なんだかマイナス面ばかりの感想になってしまいました。
「86 -エイティシックス-」2期の感想
感情移入が難しかった
例えば、戦場で 86 が大活躍してるのに、軍の中で孤立、疎まれてる理由がよくわからなくて、86側、軍側どちらにも共感が難しいなど、1期と比較して、2期は少し感情移入がしずらかったように感じました。
フレデリカとキリの関係性も、フレデリカのセリフだけから思い描くのが難しくて、「#19 いっそ このまま」、「#21 もうこれしか」で往時の二人の姿が絵で描かれ、キリの名を呼ぶフレデリカのいたいけな声を聴いて、ようやく両者の気持ちを理解できたように感じます。
「#22 シン」で、悪夢からようやく覚めたシンが、目の前に現れたレーナの言葉に救われ、何のために戦うのか、何のために生きるのかを掴むシーンは、こちらの心も鮮やかに晴れるような、シンの新たな人生の始まりとなる名シーンでした。 しかし、そこまでのシンの心の問題、狂気と正気との狭間を行き来する様が、よく言えば念入り、悪く言うと何話にも渡って長すぎて、せっかくのこの名場面にも「やっとか…」という気持ちが少なからずありました。
そして、そのシンとレーナの出会いも、匂わせ無しの唐突なもので、ドラマチックというより御都合主義感を感じてしまいます。 さらに『まだ名乗れない』と言ってたくせに、「#23 ハンドラー・ワン」ではあっさり名乗ってるし…。 気持ちの持っていきどころが少し難しかったです。
フレデリカとレーナは両立しない
やはり、チラリとでも出てきたなら、物語のヒロインはレーナだと思うのです。 フレデリカやヴェンツェル中佐が、いくら可愛かったり綺麗だったりしても、ヒロイン=レーナはもう絶対だと思うのです。 なので、レーナの場面が少なかったのには不満が残ります。
1期から観てきた私が2期で見たかったのは、結局のところ 「#22 シン」、「#23 ハンドラー・ワン」ではなかったろうかと思います。 そこに至るまでの過程をシン側、レーナ側両方から、もっと丁寧に期待を煽りながら描いてもらえたら満足だったのかもしれません。
でも、それだと、フレデリカの出る幕がなくなってしまうし、フレデリカとレーナ両方を描くには話数が足りなかった。 やっぱりシンのカウンセリングに時間を使いすぎたのではないでしょうか。
あと、フレデリカの幼女力の強さで、クレナの妹キャラが霞んでしまったのも残念でした。
時節柄…
2022年3月 にイッキ見したのですが、時節柄、戦争物にあまり没入できなかったように感じます。1期を観たときは戦争の悲劇に涙しながら「感動した」なんて言ってたのに、今回はなんだかそれを後ろめたく感じて避けがちになったり。 まったく視聴者(私)とは勝手なものですね。
「86 -エイティシックス-」1期の感想をこちらに書いています。
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