登山をだしに女子高生同士がイチャイチャする様子を通して、山の楽しさと友情を描きます。綺麗な景色を観て美味しい空気を吸う、そんなアウトドアを疑似体験できるアニメでもあります。

「ヤマノススメ Next Summit」の評価

見てもらいたい度:🗻🗻🗻🗻➖

 

オススメ・ポイント

まず、自然の景色の描写が秀逸です。山の景色の美しさはもちろん、ガードレールに生えた苔もしっかり描いています。中でも谷川岳での日の出の場面は、空と雲の色、靄に煙る山々の景色の空気感が素晴らしいと思いました。停止画でずっと観ていられる、すぐにシーンが切り替わってしまうのがもったいないくらいの逸品でした。

登場する山々にはそれぞれ個性的で、登場キャラも同様に個性豊かです。主人公と幼馴染のひなたちゃんの関係や、それぞれのキャラ同士の関係性も各エピソードでよく描かれていて、登山回だけじゃなく日常回も楽しく観ることができます

頼りなさげに見え、みんなから可愛がられる妹キャラ的ポジションにいるはずのここなちゃんが、実際はしっかり者で他人に依存しないひとり立ちしたキャラなのもいいです。主役とひなたちゃん二人の感情の起伏が激しい中、浮き沈みのない安定した存在で、ブレないバランサーとして抜群の働きでした。主要キャラの中で、ここなちゃんが精神的に一番大人なのでは?

エンディングアニメで絵本風に描かれるショートストーリーも魅力的でした。セリフが無く、いろいろ想像できるところも良かったです。

4話までは過去回の復習、5話からが今期本編となります。正味 8話でしたが、十分満足できる、観れば観るほど愛おしくなるアニメでした。

皆の家が豪邸過ぎて若干引くけど!

 

オススメの回

#10「新しい季節」です。

クラスメイトを介して見る主人公の成長、それを見守るひなたちゃんのさり気ない心遣いが温かいエピソードです。

 

なぜ山に登るのか

作中、主人公は「なぜ山に登るのか、何のために登るのか」と何度も自問します。

これといった明確な答えは無くていい。最終話での「一歩一歩ただ歩を進めるだけ」というモノローグ、それが過去から未来へと自分をつなぐという描写に、私は「禅」を感じました。このシーンでこのアニメのことをより好きになりました。

(誤訳としても)有名な「なぜ山に登るのか?」「そこに山があるからだ」もまるで禅問答ですね。

 

富士登山の感想

復習回の #02「走れ!ヤマガール/2nd season夏 前編」にて、主人公が富士登山の途中で高山病にかかってしまいます。

「あくびが止まらない。じっとしてても苦しい。歩いても歩いても近くならない」

これ、めちゃめちゃわかります。富士山の山小屋で、横になって寝ていても息が苦しくてハッと目が覚めてしまう、そんな体験を私もしました。登山途中は山を登ってるというより工事現場を歩いてるみたいで全然楽しくないし、頭は痛いわ気分は悪いわで、富士山は登るより遠くから眺めて楽しむものだな、二度と登るまい!と思いました。

このアニメの主人公は、富士登山を途中で諦めたことが心にひっかかり、あんなに苦しい思いをしたにもかかわらず、「転んでもまた立ち上がればいい」と再挑戦を決意します。友達の支えもあって翌年登頂を果たした主人公は、様々な面で確かに成長していました。

この「再挑戦したい」と思うか思わないかが成長できるかどうか、ひいては人生がどうなるかの違いにきっとなるのでしょう。「二度と登るまい」じゃないんですよ、私!

 

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